ガイドライン・提言・情報提供
最新の国内実態調査結果に基づく診断参考レベル(DRLs 2025)の設定について
J-RIME 日本小児放射線学会代表委員 田波 穣
本学会(日本小児放射線学会)を含む国内の多数の学術団体、工業団体からなる医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)が令和7年7月7日に上記の診断参考レベルを公表した。
診断参考レベルとは、年々増加する医療被ばくに対応するため、WHO,ICRP, IAEAといった国際機関や団体がエビデンスベースの医療放射線防護実現の方法として掲げている。
現在、国際的には国による診断参考レベルの設定が医療被ばく防護の要件となっている。
診断参考レベルを設定した経緯、目的、意義などはDRL報告書に詳細に記載されており、J-RIMEのホームページよりインターネットでダウンロード可能である。ご興味のある先生は下記URLよりアクセスされることが望まれる。
今回公表されたDRLは成人と小児のCT、一般撮影、マンモグラフィ、歯科X線撮影、IVR、診断透視、核医学の8つのカテゴリーを含んでいる。小児の診断参考レベルは調査した対照群の3/4値(75 パーセンタイル)に設定している。
この値は個々の患者の検査の被ばく線量の上限を規定したものではない。その施設で行われているルーチンプロトコルと比較し、その値が国全体のDRLの値と大きく違わないことを確認するための指標であり、もしこれを上回っていた場合、この数値を下回るよう撮影条件の見直しをする必要がある。我が国の小児CTの診断参考レベルを以下に示す。代議員の先生方は各施設におけるプロトコルと下記DRLとの比較が望まれる。
なお、CTのDRL値に関しては前回は躯幹部は16㎝ファントムであったが今回は32㎝ファントムでの値が表示されている。その為、各施設で16cmファントムで表示されるプロトコルを使用している場合には値を適宜、読み替えする必要がある。
「日本の診断参考レベル(2025年版)-J-RIME」
https://j-rime.qst.go.jp/report/JapanDRLs2025_ja.pdf