5. 小児泌尿器科の現状と今後
兵庫医科大学 泌尿器 島 博基
(日本小児泌尿器科学会理事長) |
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日本における小児泌尿器科学の改祖は1962年に“小児泌尿器科の臨床”を書かれた故辻一郎名誉教授と駿河敬次郎名誉教授です。その後1972年に駿河敬次郎、故太田黒和夫、生駒文彦の3人の先生が世話人となり小児泌尿器科勉強会が始まりました。同年に太田黒・生駒両教授が世話人となり小児泌尿器科研究会が開催され、この研究会が土台となり1992年に日本小児泌尿器科学会が両教授のご尽力で設立されました。爾来、16年の年月が過ぎました現在では、諸兄の努力により、大変充実した学会となってきています。また、大塩猛人先生と関係各位のご努力により、懸案の小児泌尿器科認定医制度が2007年に始まりました。2008年9月1日現在での本会の会員数は758名です。また小児泌尿器科認定医有資格者は93名です
また、学術委員長であった林 祐太郎先生にガイドライン委員会を立ち上げて頂き、小児泌尿器科学会として停留精巣のガイドラインを発行することができました。
小児泌尿器科学会の大きな特徴は泌尿器科医、小児外科医、小児科医、看護師の混成部隊になっていることです。これは本会の性質上、泌尿器科、小児外科、小児科、看護部門が患児の裨益のために総合的な治療を行なう必要があるからですが、関連領域間の密度を高める努力が更に必要です。VUR、多嚢腎、腎盂尿管移行部閉塞症などを例に挙げるまでもなく、小児泌尿器科疾患の治療の考え方も大きく変わってきました。画像分野ではMRIUrography、Ulrasonography、3DCTの進歩が疾患の診断、治療に貢献しています。
今後は、学会活動を通じて小児泌尿器科認定医の知識・技術体系を更に深めたいと考えています。また、領域が専門的に深くなればなるほど、小児泌尿器科認定医と一般医および他科専門医との関係を密にしながら、Subspecialityとして門戸を広く開くことが大事であると考えています。
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