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先天性腎尿路疾患の画像診断、とくに腎機能予後との関連

大阪府立母子保健総合医療センター 泌尿器科  島田憲次 島田

 小児泌尿器科で扱う疾患のほとんどは先天性の要素があるため、適応と解釈にあたっては患児の年齢を考慮した尿路・性器の形態的、機能的な発達と特徴を理解しておくことが求められる。検査法の組み合わせは非侵襲敵で被爆量の少ない検査が優先されるのは無論であるが、加えて治療法の選択、つまりは外科的治療が必要か、保存的観察を続けるか、を決めるためにどのような情報を知りたいのかを常に念頭に置きながら選択する必要がある。このような点から、上部尿路の形態評価に関しては超音波検査、機能評価はRI検査、下部尿路の形態と機能評価には排尿時膀胱尿道造影(voiding cystourethrography: VCUG)が基本となっている。従来は上部尿路評価のためルーチンに施行されていた静注性腎盂造影は、とくに幼小児では消化管ガスのため画像の判定が難しく、かつ造影剤を静注するリスクをもつため、その適応はごく限られた目的に使用されるのみとなっている。

1. 超音波検査
 超音波検査は被爆量がなく痛みを伴わないため外来診察で簡単に、そして繰り返し施行できる長所をもつ。しかし、画像の描出と解釈は検者の技量に左右されるため、他の検査に比べると再現性が乏しい欠点をもつ。観察のポイントは腎の有無とそのサイズ、エコー輝度、腎盂腎杯拡張の有無と程度が主なものである。新生児期には腎髄質のエコー輝度が低いため、実質部嚢胞と誤らないよう注意する。この腎実質エコー輝度は腎機能を評価するうえで重要な手がかりを与えてくれる。尿路拡張の程度を記載するには、日本泌尿器科学会で推奨されている分類法が望ましい。

2. 排尿時膀胱尿道造影(voiding cystourethrography: VCUG)
 尿道内へのカテーテル挿入と、膀胱内への造影剤注入が必要なVCUGは、小児にとって苦痛を伴う検査であり、また生殖腺に対する被曝も避け得ないが、現在この検査法以外に膀胱尿管逆流と下部尿路の形態と機能評価を代行できるものはない。膀胱尿管逆流(VUR)は腎実質に瘢痕性病変を作り、腎機能障害を招く重要な疾患であり、国際分類に則った評価を加えるとともに、逆流増悪因子としての下部尿路異常を合併していないか判断が求められる。特に腎実質内への造影剤逆流は重要な所見となる。
3. 核医学検査
 核医学検査法には腎動態検査法と腎静態検査法とがある。総腎機能および分腎機能の評価が可能である点は両者とも等しいが、腎動態検査法では糸球体ろ過物質や腎血漿流量物質を用いるため、直接的にGFRやERPFが計算され、また速やかに尿路に排泄されるため尿路の評価も可能となる。腎静態検査では尿細管集積物質を使用するため、腎実質病変の描出に優れている。小児の場合は絶対的摂取率をそのまま腎機能として利用できるか疑問がり、相対的摂取率での評価が一般に用いられている。
 今回はこのような画像診断を用いた腎尿路の評価、ならびに腎機能予後との関連について話をする予定である。

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