ランチョンセミナー 2
「小児分野におけるダブルバルーン内視鏡の活用ーメッケル憩室、PJSから生体肝移植後のERCPまでー」
自治医科大学光学医療センター、
富士フイルム国際光学医療講座 山本博徳
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ダブルバルーン内視鏡は小腸全域の内視鏡観察を可能とするために演者が考案し、フジノン株式会社(現富士フイルム株式会社)が開発した新たな挿入原理に基づく内視鏡である。従来の内視鏡に比べて内視鏡そのものの構造には大差は無いが、内視鏡先端とそれにかぶせて使用するオーバーチューブの先端に腸管把持用のバルーンを設けることにより従来の内視鏡では出来なかった優れた挿入性と操作性を実現させた。
小児科の領域においてもメッケル憩室からの小腸出血、Peutz-Jeghers 症候群に伴う小腸ポリープ、誤嚥による小腸異物などこれまでは内視鏡検査の適応外と考えられ、開腹手術が行われてきた疾患があるが、ダブルバルーン内視鏡の利用でこれらの疾患に対しても内視鏡的アプローチが可能となっている。
また、生体肝移植後の肝空腸吻合部胆道狭窄は比較的頻度の高い合併症と考えられているが、Roux-en-Y吻合による再建のために従来の内視鏡では内視鏡的アプローチがほとんど不可能であり、経皮経肝的アプローチしか選択はなく、治療に難渋することが多かったようである。ダブルバルーン内視鏡はその優れた挿入性と挿入後の優れた操作性を発揮し、Roux-en-Y吻合術後の輸入脚への内視鏡挿入を高率に可能とし、術後再建腸管を持った患者のERCPなどの胆道系処置にも応用されている。我々の施設では小児外科、移植外科と消化器内科の協力の下、生体肝移植後の肝空腸吻合部胆道狭窄に対する内視鏡的拡張術やステント留置などの治療を行い良好な成績を収めている。
本講演ではダブルバルーン内視鏡の原理から特に小児領域での活用を中心に解説させていただき、小児領域の疾患に対する内視鏡的アプローチの広がりから診断、治療にもたらす変革の可能性について提言させていただく。
(富士フイルムメデイカル株式会社 共催)
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