ご挨拶

 第43回会長 柳川幸重(帝京大学医学部附属病院 小児科)

 第43回日本小児放射線学会のお世話をさせていただくことを大変光栄に思っております。今回の学会はメインテーマを「こどもにやさしい新たな画像診断」といたしました。
 新しい画像診断テクニックの進歩は目覚ましいものです。より分かりやすい情報量の多い診断法が生まれておりますが、画像の読みやすさの進歩とともに大切な点は、危険・合併症の少ないことであると考えて「こどもにやさしい」とさせていただきました。
 今回の当番会長は小児科であり私の主な領域は循環器ですが、循環器の話題にはこだわらず、小児放射線学に関わりを持つ小児科、小児外科、放射線科の全ての先生方にとって有意義な学会になるよう心がけました。
 教育講演といたしましては、近年の小児神経疾患診断法を劇的に変え、診断基準も書き換えつつある小児神経学の分野の話題として「小児における脳症の画像診断」を東京大学大学院 医学系研究科 発達医科学分野 水口雅先生にお願いいたしました。もう一つの教育講演としては、歴史的に形態学的診断に重点が置かれてきた小児循環器の分野において、形態以外の情報を与えてくれる核医学検査法に長く関わってこられた日本大学 医学部小児科 唐澤賢祐先生に「小児の核医学検査:心臓検査を中心に」のお話をお願いしております。
 特別講演としては「川崎病の画像診断」の話題を、東京逓信病院小児科の鈴木淳子先生にお願いいたしました。鈴木先生は、小児循環器、川崎病関連の学会においていつも美しく素晴らしい画像を呈示されており、リスクのある冠血管造影検査に劣らない画像を「こどもにやさしい画像診断」で示していただけると期待しております。
 シンポジウムは、 「勃興しつつある新たな画像診断」と題して、多くの小児科、小児外科、小児放射線科の先生にとって余り経験する機会のない話題を提供したつもりです。シンポジウム1 番目の話題としては、 「心を診るfMRI」として、国立精神・神経センター精神保健研究所心身医学研究部守口善也先生にfunctional MRI のお話をお願いいたしました。2 番目からの話題は、周産期医療における画像診断の話題としました。 「胎児MRI による出生前診断」として、関西医科大学 産婦人科学教室 依岡寛和先生にお話し頂いた後、周産期医療における超音波診断を国立成育医療センター周産期診療部胎児診療科長 左合治彦先生に、続きまして主に中枢神経系を中心に周産期医療における超音波診断についてクリフムマタニティークリニック 夫 律子先生にお願いしております。
 ランチョンセミナーでは、東京大学大学院 医学系研究科 発達医科学教室前教授であり、現在は、鹿児島国際大学大学院 福祉社会学科教授牛島廣治先生に、ご専門の消化管ウイルスの話をお願いいたしました。近年全ての医療分野で問題になっているノロウイルスを初め、下痢ウイルスに関する知識は参加する全ての先生に必要であると思われますが、これに関してまとまったお話を聞く機会がない先生が多いのではないかと考えた企画です。またもう一つのランチョンセミナーとしては、帝京大学医学部 放射線科 大場洋先生にご専門の神経疾患の画像診断についてお話しいただく予定です。
 最後になりましたが、フィルムリーディングセッションに関しましては、宮城県立こども病院 放射線科医長 島貫義久先生に全面的にご協力いただきました。島貫先生のご発案とご努力で、セッションに出題される画像をプログラムに載せることが出来ましたので、ご参加する皆様も診断を楽しんでいただけると有り難いです。
 また、小児放射線の知識に乏しい私のこの会の立案・企画に際しまして、日本小児放射線学会理事長甲田英一先生、埼玉県立小児医療センター放射線科小熊栄二先生、国立成育医療センター呼吸器科川崎一輝先生、帝京大学医学部放射線科古井滋教授を初め、多くの方々のご助言を得られたことに感謝するとともに厚く御礼申し上げます。
 以上の準備を進めて参りましたが、出来るだけ多くの先生にご参加頂き、積極的な討論をお願いし、この会を記憶に残る学会として頂ける事を切に望んでおります。

大会事務局
帝京大学病院 本部棟5F小児科医局内
第43回日本小児放射線学会事務局